声優:花澤香菜 live 2015“Blue Avenue”レポート

 

_19A1043_400x6002015年5月3日(日)、自身初となる日本武道館ライヴが開催された。
昨年12月に開催が発表されて以来、多くのファン、そして花澤本人がどれほどこの日を待ち望んだか。花澤自身においては、本人名義でデビューを果たした2012年から約3年、いつかは立ちたいと思っていた夢のステージである。超人気声優として多忙な日々を送るかたわら、展開してきた音楽活動。送り出されてきた8作のシングル、3作のアルバムの作品群は、彼女の声優人気だけに依らず、徹底的にこだわり抜いて産み落とされた“名盤”ばかり。“声優の歌”という域を飛び越え、J-POPシーンにおいても確固たる存在感を示してきた。そして、作品ごとに急速に成長を遂げ、”アーティスト・花澤香菜“と呼ぶにふさわしい表現力を得た今、その集大成ともいえるライヴを夢にまで見た武道館で実現させたのである。
ステージには、ニューアルバム「Blue Avenue」のテーマとなっているニューヨークの、Avenueの空気感をテーマにしたセットが組まれている。“Jazz/AOR/クロスオーバー”といった、まさしくニューヨークと想起させる洒落たサウンドと花澤香菜の唯一無二の声が、絶妙なマッチングを見せていた同作。Avenueという言葉には、一般的に知られたところで<通り>や<並木道>といった意味があるが、それとは別に<(ある目的への)手段・道・方法>という意味もある。洒落たサウンドが醸しだすクールな印象の一方、花澤香菜が音楽活動で歩んできた道、すなわち徹底的に作品作りに苦心してこだわり抜いてきた末に、武道館という夢にまで辿りつけた道という、ある種クールとは相反する意味をも込められたセットだという。
そして、18:00過ぎ。遂に開演を迎えた。G.北川勝利(ROUND TABLE)をバンマスとする「デスティネーションズ」(花澤香菜のバックを務める際のバンド名)と初登場となるホーンセクション(!)がそれぞれの位置につき、一曲目「I ♥ NEW DAY !」のイントロを奏でる。アルバム「Blue Avenue」でもオープニングを飾るこの曲、タイトル通り新しい何かが始まる空気が会場を包む。そして、セット中央に組まれた階段に花澤香菜が登場、湧きあがる大歓声。衣装は黄色のワンピースに帽子、動物などをモチーフにした手造りの飾りが散りばめられている。バンドが繰り出すミディアムテンポのグル―ヴと彼女の心地よい歌声に呼応する観客。多くのその手にはブルーのサイリウム。本格派の都会的なグルーヴとアニソンの流儀の融合・・・花澤香菜のライヴだからこその光景、楽しみ方は自由。皆、アルバムを聴き込んできていると見えて、レスポンスもバッチリで、早くも会場に一体感が生まれた。
そして、2曲目は6thシングル「ほほ笑みモード」。世界的なクラブミュージックのユニット=STUDIO APARTMENTが提供した楽曲で、一転してのクラブサウンドに、観客のサイリウムを振る手のリズムが早くなる。その光の揺れが、この曲の持つ昂揚感をより高めていく。つづいての曲は最新シングル「君がいなくちゃだめなんだ」に収録された「運命の女神」。打ち込みサウンドとさわやかなメロディに乗せて歌われる花澤の凛とした声が印象的な一曲。
そして、ここでMC。「とうとう来ちゃいました武道館!」と花澤・・・もちろんまだ緊張はしているのだろうが、緊張よりも、ライヴを心から楽しんでいる表情をしている。「ステージの花道をAvenueに見立てて、お散歩のようにやっていきたいと思います。」という言葉からも、我々が思っている以上に自然体な様子がうかがえた。
そして、M4は「こきゅうとす」。やくしまるえつこトータルプロデュースで昨年12月にリリースされた7thシングルである。やくしまる独特の世界観と花澤香菜の比類なきスウィートヴォイスが奇跡的な邂逅を果たしたこの曲。強烈な個性を持ちながら、最大限の共有性をも備えたこの曲を、ほぼ動きなく歌う花澤。その佇まいが、武道館という大会場を、<やくしまるえつこ×花澤香菜>が織りなす世界へといざなう。
ステージがここまでは“1stAvenue”としてニューヨークのセントラルパークをイメージしたシーンであったが、ここから“2ndAvenue”ブロードウェイのシーンに。そして、つづく「Night And Day」へ。スリリングな展開のサウンドにのせて扇情的で大人っぽいヴォーカルを聴かせる花澤。ミステリアスな余韻を漂わせながら、花澤は一旦ステージから消えていく。
続いてはライヴではお馴じみのこの曲「CALL ME EVERYDAY」。電話の着信音が鳴り響き、「もしもし」と花澤が再登場。衣装はゴールドのゴージャス感たっぷりのワンピース。これもブロードウェイからのインスパイアされた演出のひとつ。そして、曲中では、ファンにとってはお楽しみの“もしもしタイム”でステージ上と客席で電話で話しているかのような楽しいやりとりを繰り広げる。
つづくM7「青い鳥」はブロードウェイ感を最も体現したともいえる一曲である。雄大なスケール感を湛えたこの曲に対し、観客も伸びやかなストロークでサイリウムを反応させる。そして「無邪気なキミと真夏のメロディ」「スパニッシュ・アパートメント」と華やかなナンバーが続き、花澤が繰り出すピースサインのキュートさも相俟って、ボルテージはより一層高まっていく。
ここで、2度目のMC。メンバー紹介の中では、ベースの高井氏が今日誕生日であることが紹介され、バンドが即興でバースデーソングを演奏したり、撮影で昨年行ったニューヨークでのエピソード(ほとんどはベーグルの話であったが)を、トークを展開。和気あいあいとしたムードが、武道館に広がっていった。
ここからの“3rd Avenue”のテーマはニューヨークの夜をイメージ。MCパートの最後に「(次の曲では)初めてのパフォーマンスを披露します!」と言って始まった曲は「タップダンスの音が聴こえてきたら」。ビリー・ジョエルを彷彿とさせ、ニューヨークのエンターテイメント性がふんだんに織り込まれたこの曲中で、なんと花澤香菜がタップダンスに挑戦!!超多忙なスケジュールの合間を縫って、この日のために猛練習してきたタップダンス。なかなかの腕前(脚前?)を披露し、会場が大いに盛り上がった。
そして、次の曲は「Blue Avenue」の中でも名曲との呼び声が高い「Trace」。スティング「Shape of My Heart」にインスパイアされてミトが作曲したというこの曲、哀愁感を漂わせながら歌う花澤の歌声と表情、”26歳、大人の花澤香菜”の新たな魅力を感じさせた。
そして、スウィングアウトシスターが楽曲提供したことで大きな話題となった「Dream A Dream」。CDではSOSならではの洗練が凝縮されたサウンドに、花澤香菜がこれまでにないヴォーカリゼ―ションを聴かせていたが、ライヴでもそれを再現。 “The洋楽”(本人の以前のインタビューより拝借した表現)な楽曲を歌いこなす姿にヴォーカリストとしての成長を実感した。
ここで再び衣装替えのため花澤は一旦はけつつ、北川によるメンバー紹介。衣装チェンジを終え、ここでは白の可憐なワンピースで登場。また、ステージのシーンもここで変化し、“4th Avenue”はタイムズスクエアを表現。そして、G.北川が「みんなパンは好きか?」「メロンパンは好きか?」と謎の問いかけがされる。花澤のパン好きはファンの間では周知だが・・・ここからまさかの展開が!ジェームス・ブラウン「SEX MACHINE」の音楽史に残るあのフレーズ“ゲロッパ”を
花澤が”メロンパン“と言い換えて、バンドとの濃密でファンキーなセッションが始まった。パン好きの花澤の口からはメロンパンに留まらず、次々にいろんな種類のパンの名前が連呼される。”トルティーヤ“などに言い及んだ時にはもはや”“ゲロッパ”の原型は留めていなかったが(笑)、途中JBさながらのステップをする花澤がとにかく楽しそうで、観客もその彼女の姿につられて笑っている。そして、つづく「We Are So in Love」のフュージョンテイストの軽やかなサウンドが、観客が身も心も躍らせるように、多幸感が会場に広がっていく。
ここでM
Cがあって、ライヴは終盤へ。「26歳になった私が(25歳の時にリリースされた2ndアルバム)「25」の曲を何曲か歌いたいと思います。」といって始まった曲は「25 Hours a Day」。コーラス部分では、観客全体がシンガロングし、皆がライヴを謳歌している空気が溢れる。つづく15曲目は、最もアッパーな一曲「Young Oh! Oh!」。「Oh!Oh!」という部分で観客がジャンプしテンションはMAXへ。この曲は、ライヴでも最も弾ける曲の一つとして今後も人気を博しそうだ。つづく「片思いが世界を救う」でもオーディエンスは「Yeah,Yeah,Yeah」とレスポンスし、テンション高まったままライヴはづづく。17曲目「Merry Go Round」では、花澤が手をピストルに見たて、会場全体に向けて“Bang,Bang,Bang”という素振りを見せる。そのキュートさに会場全員がハートを打ち抜かれていった。
本編ラストとなるMC。「音楽活動を始めて3年、最初は緊張していたけど、今はもうみんなが友達(のような存在)だから大丈夫!あなたたちに支えれています。これからも宜しくお願いします」と深々と一礼して始まった本編ラストとなる18曲目は「君がいなくちゃだめなんだ」。本人主演映画の主題歌であり、バンマス北川作によるこの曲。旋律とアレンジの美しさが、この楽しい時間が終わることの切なさを高める。花澤がステージを端から端まで動きながら会場の人すべてにありがとうを伝え、ステージを後にした。
アンコールを受けて、バンドにつづいて花澤香菜が登場。花澤が「しーっ」と鼻に人差し指をあてる素振りをしている。そして、その時が来た。
♪せーの♪――その後の一瞬の間に「おおお!?」とどよめく客席。そして♪でもそんなんじゃダメ♪と歌い始めた花澤。そう、TVアニメ「化物語」で花澤自身が演じた千石撫子のキャラソン神曲「恋愛サーキュレーション」を遂に初披露!長きに渡る封印が解かれた瞬間、客席が堰を切ったようにとてつもない盛り上がりを見せる。多くのファンがこの瞬間を待っていた。祝祭のごとき熱狂が武道館を覆い尽くす。歌詞の通り♪神様ありがとう♪というオーディエンスの感喜の叫びが、この日のライヴで最も大きな歓声となってこだました。
熱狂を鎮めるように、ここでMC。曲の説明をしようとしたものの、説明不要ですね、とほほ笑む花澤。大歓声で返す観客。ずっと花澤香菜を応援してきたこと、そしてこれからも応援していくことを、確かめ合うような素敵な光景であった。
興奮冷めやらぬ中、ライヴ定番曲「Saturday Night Musical」へ。♪Sunday,Monday,Tuesday♪というスウィンギンなコール&レスポンスが繰り広げられる。
つづいての5thシングル「恋する惑星」で残り僅かなこの空間と時間を愛おしむかのように、ステージと客席がより一体感が増していく。
ここで最後のMC。武道館に至るまでの、自らの歩みを振り返りながら、感極まった花澤は号泣。
自分を見出してくれたマネージャーと、ここまで応援してくれたファンへの感謝を伝え、会場にも思わず涙する人が多く見られた。感動的な雰囲気の中、ラストは「星空☆ディスティネーション」-ソロデビュー曲であるこの曲と共に、武道館に集ったファンは約3年の時を過ごしてきた。♪出会った あの日 あの時を覚えてる?♪と歌われるその詞が、これほど相応しい空間はない。ラストサビ前のキャノン砲は、花澤香菜自身と彼女と歩んできたファンのたくさんの時間への祝砲であった。
・・・客電があがり、観客も帰り支度をしていたその瞬間、花澤香菜とバンドが再登場。「もう一曲やっていい?」と問いかける花澤。観客は割れんばかりの拍手で応え、予定外のアンコールが始まった。オープニングで歌われた「I ♥ NEW DAY !」を今一度演奏したが、さっき聴いた感触とはまたひと味もふた味も違う「I ♥ NEW DAY !」。これから始まる新たな何かを予感させながら、およそ2時間半に渡る、花澤香菜初の日本武道館ライヴは大成功の内に終わった。

 

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