スカイ・クロラ The Sky Crawlers

 

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「恋愛」とは?「大人になること」とは?「生きること」とは?
押井守監督 独占ロングインタビュー
【押井守監督プロフィール】
映画監督。1951年生まれ。東京都出身。
東京学芸大学教育学部美術教育学科卒。
映画代表作:
『うる星やつら オンリー・ユー』
『うる星やつら ビューティフル・ドリーマー』
『機動警察パトレイバー 劇場版』
『機動警察パトレイバー2 the Movie』
『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』
『アヴァロン Avalon』
『イノセンス』
『立喰師列伝』
ほか多数。

映画『うる星やつら オンリー・ユー』で監督デビューし、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』はアメリカやイギリスでも公開され、翌96年には米ビルボード誌でセルビデオチャートNo.1を獲得。世界にその名を轟かせた押井守監督。映画『機動警察パトレイバー 劇場版』、『イノセンス』などの劇場アニメの他にも『アヴァロン Avalon』など数々の実写映画も世に送り出している。その押井監督の最新作『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』がいよいよ8月2日(土) に公開される。これまでの演出手法を封印して制作したという本作について、押井監督がこの作品に込めた思い、「恋愛」のこと、「大人になること」そして「生きること」についてじっくり語っていただいた。

──押井監督が『スカイ・クロラ』を映画化しようと思ったきっかけは?

押井:森さんに関しては、飛行機マニアのあるプロデューサーがいて、彼が「こういう小説があるんですけれど、映画になりませんかね」と言うので読ませてもらったんです。日本の小説家としては珍しく理工系というか、飛行機のことを相当ご存知だなあと、非常に面白い作家だと思いました。飛行機っていう拠り所があったので、これはやれるかな、と。でも最大のきっかけになったのは、娘に『スカイ・クロラ』映画化の話をしたときに、身を乗り出したというか、ちょっと目が変わった。「もしかしたらこれは面白いのかな」と思って、若い人が気になるものが、この中にはあるみたいだと感じただけで。では、もう少し、そのことについて考えてみようかな、若い人たちと話してみようと思ったんです。今までそういうことをしてこなかったので。で、伊藤ちひろという若い脚本家の女性を選んで、映画にする、脚本を書く前に「こういう人物たち、どう思う?」というような話から始めて……。まあ、あんたはこの登場人物を自在に動かせるか? ということですよね。それができれば、客観的な世界の中でドラマができるかもしれない。駄目ならやめようと思っていました。そうこうするうちに結構頭がそっちの世界に入って行っちゃったんですよ。

──シナリオ作成のプロセスで伊藤ちひろさんへの要望などはどんなものでしたか?

押井:恋愛ってこういうものだという話はさんざんしましたけど。その恋愛を描くために何をするかはあんたの自由だと。男と女の話だよ、恋愛を描きたいんだよと。恋愛っていうのは、こういうもんだと思うということを。世に言われている、若い人たちが思っている恋愛とは違うんもんなんだよとね。それを脚本にするのは、あなただと。「こうしなさい、ああしなさい」というのは監督の仕事じゃない。脚本家の仕事です。「僕を説得してみてください」というのが、僕が脚本家と組む時のスタンスです。当たり前の話なんだけどね。「こういう風に書いて」とか「こうだからね」とか言うんだったら、自分で書けばいいんだから。だからいつも自分で書いている。今回はできないと思ったから頼んだ。俺が書いたら、なんの意味もない。

──若い世代の人に合わせて、伊藤さんに頼んだんでしょうか?

押井:若い子が書くから若い人間を描けるとは限らない。逆に無理だと思う。若い人が若い人を描けるわけがないと思う。ただ彼女は若いからじゃなくて、優秀な脚本家だと思ったから選んだ。別に男だから女だからというのも関係ない。書けると思ったから選んだ。ただこういう物語を自分の生活感情みたいなものを通して理解できるかというところ、それはやっぱりおじさんやおばさんには無理だろうと思いますけど。でもそれは十分条件であって必須条件じゃない。逆は必須だよね。若い脚本家だから若いドラマが作れるとは全然思わないわけ。

──伊藤さんの印象は?

押井:変わった女。多分、自分は変わってないと思っているんだろうね。そこが変わっている。だいたいいい仕事をする人間はみんなそうだよ。自分が変な奴だと思っている奴は実は意外にまっとうなんだよね。自分が一番まともな人間だと思っているのが変なんだよね。でもまっとうだと思っていなかったら本なんか書けない。自分は頭おかしいと思っている奴は映画は作れるかもしれないけど、脚本は書けない。そういう典型的な人間ですね。

──『スカイ・クロラ』でもっともこだわった点、苦労した点はどういう部分でしょうか。

押井:ここがとにかく大変だったとか、僕の主観では、無いですね。みんなまんべんなく大変だったんで、作画監督の西尾(鉄也)くんなら作画が大変だったと言うだろうし、CGの林くんならCGが大変だと言うだろうし。僕の仕事の立場で言うとキャステンングかな。なかなか決まらなくて。こんなにキャスティングで苦労したのは初めてでした。とにかくいないんですよ。ボイスサンプル聞いても聞いてもさっぱりピンとこない。いなかったらどうするんだと思って。いなかったら、「この人でいいか」と80点ぐらいの人でやるのは、しんどいですよね。どのパートの仕事も最終的にはベターでしかないんだけど、人選に関してはベストだと言い切れないと。作画監督の西尾(鉄也)くん、CGIの林(弘幸)くん、メカニックの竹ちゃん(竹内敦志)にしても、その選んだ人物をベストチョイスだと言えないと。自信持っているわけですよね。でないと2年間まかせられないです。それで、2年間作り上げた成果の最後に、(声という)目玉を、魂を入れるわけですよね。その人選がベストチョイスでなく、ベターだと言われたのでは、どうしたらいいんだろうと。そうなりかけましたけどね。僕がピンとこないだけではなく、みんながピンとこない。よりにもよって2人の主人公が決まらないんじゃ。最終的には、偶然グラビアの撮影かなにかでばったり会った菊地凛子に、会ったその場で決めたんですが。声も確認しないで決めていた。ただ、もうダメだという状況だったから決断できたんですね。最初に会っていたら、決められなかったかもしれないけど。一生懸命探すことをしていたから出会いがあったんだよね。「こうではないはず」を築き上げたからこそ、こうでしかないという答えが出たんで。追い込まれないと最後の決断ができなかったんですよね。今までなかったことだよね。これまでは同じ声優さんと付き合ってきたから。というのは、同じようなキャラクターを作っていたんですよね。榊原良子、大塚明夫、山寺宏一だとかがいればOKだった。それが今回は通用しなかったから。キャラクターを変えた、若いキャラクターにしたというのは大きなことだったんだよね。でないともたなくなっていたんだろうね、多分。

──他にこだわったことなどは?

押井:僕はアニメーションを作る時にこだわるってことはしないです。監督がこだわっていたら、スタッフはなにもできないですよ。こだわっているのは、作画監督であり、美術監督であり、CGとか、音響とか、アニメーターたちで。「いいかげんにすれば」というのが僕の立場。OKだと。「いいからOKだって言っているだろう」とその繰り返しで。僕がこだわっていると思うのは大間違い。アニメーションってそういうもので、監督がこだわっていたら、いつまでたっても出来上がらない。

コールガール・フーコ

──監督自身が好きなシーン、キャラクターは?

押井:主役以外ということで言えば、フーコかな。あれはいい女だと思うね。いいキャラクターだなと。実はスイトの分身だからね。分身として描いていたからね。フーコいいんじゃないかな。フーコみたいな女も好きだし、いい女だとと思うね。

──いい女の条件というのは?

押井:やっぱり大人であるということだよね。自分を知ってる。限界もよく分かっている。要するに、生きていると言える人間だよね。これから生きようという人間じゃない。生きることの渦中にいるということだよね。結構まだ生きてない人間とか、もう生きてない人間ばかりだから。生きている渦中にいることはかなり難しい。そこがフーコのいいところかな。だからフーコの出ているシーンはみんな好きだよ。

──「大人」と「子供」がキーワードになっていると思いますが、永遠の子供・キルドレは喫煙、飲酒、セックス、出産と、やっていることは大人と変わらない印象でした。監督にとって大人と子供の大きな違いはなんだとお考えですか?

押井:僕の中には厳密に「大人ってこういうものだ」というのはあるんだけど。それはあくまで僕はこう思っているというだけで。問題なのはなにが大人なのかと明らかにすることじゃなく、「大人と子供の違いってなんだろう」って考える状況が問題なんですよ。漠然と今の世の中の本質に気が付いているわけだ。大人と子供との違いってなんなんだろうと発想すること自体が。そっから先、問題はその答えを自分なりで探すことが、そういう疑問を持つことが「今の時代の中でどう生きるのか」ということのとっかかりであって。もちろん色々な答えがあって構わないと思うし。俺はこうだと思っているけど、そうじゃなきゃいけないわけじゃない。あえてそのことを問わないといけない時代になっているということですよね。昔はそんなこと誰も言わなかったし、考えもしなかった。なぜかというと大人は大人ではっきりしているし、みんな分かっていたんだもの。そんなの聞く奴ももいなかった。なにバカなこと言っているんだ、こいつは大人でこいつは子供だと。もっと単純に言うと親に喰わしてもらっている奴が子供だって、はっきりしていたんだよね。今は自分で稼いでいても子供ださ、あるいは親に喰わしてもらっていても大人だったりというのもあるわけね。昔で言うほど単純じゃなくなったのは確かですよ。今の世の中で、どう単純じゃなくなったのか、それを「大人だ」「子供だ」ということを考えればね、少しは見えてくるはずだということですね。答えが重要なんじゃない、その答えにリアリティがあるとするならば、そこに多分答えがありそうだと。そう感じることが重要なんじゃない?

──すごくすっきりしますね。

押井:そのための映画なんであってさ。そのことに気が付いてもらえばいいんであってさ。だからの彼ら(登場人物)も、よく分からないから悩んでいて、永遠に同じこと繰り返しててさ。三ツ矢が言うように大人ってなんなんだと。漠然と世の中が言っているような意味での大人になりたいとは思っていないけど、このまま生き続けるのかとか、自分が満足しているわけでもない。だからみんな困っているわけだよね。劇中の登場人物と同じようにみんなも考えているはずだよね。それを考えるきっかけになればそれで十分だと。もしも読み込んでくれれば、こちらが用意した答えも気が付いてもらえると思うけど。それは提案であってね。こうなんじゃないの?と。あくまで数十年生きてきたオヤジの意見でしかない。正しいんだと言いたいわけじゃない。聞くも聞かないもあんたらの自由だよと。説得する気はない。僕はこうだと思っているよと。ただ、この僕がたてた問題設定に誰もが自由じゃないはずだ、と、その自信があるからやったんであってね。

──若い人でもそう思うのかもしれないですが、30代の人間が見ても共感できる部分がありました。

押井:50、60のオヤジが見ても共感する部分はあると思いますよ。本当のおじいちゃんをのぞいては。

──スイトに子供がいるのも大きな意味があるのかなと思ったのですが。

押井:ありますよ。もちろん。子供が子供を産んだんだよ。子供を作る育てるというのが、大人の証明になってないんだよ既に。遊園地とか行けば分かるじゃない。若いママの大群がいて。母親が遊ぶことを我慢できない。だから赤ん坊を連れて行く。赤ん坊を炎天下にさらしていいことなんかないじゃない。本当だったら、なぜ3年待てないの?っていう。そういうのが大人でしょう。自分が我慢できないから、遊びたいから。だから子供が子供を産んだんだと。
現代は何をやっても大人の証明にならないよ。軍隊に入って人を殺そうと、会社に就職して給料もらおうと、結婚して子供を作ろうと、それこそ、誰も大人にならない。自分を大人にできるのは自分だけであって。だからユーイチはそれをやった。ティーチャーに挑戦することで。それを象徴的に描いただけであってね。僕が言いたいのは、これをすれば大人になるという社会規範はないのであって、たぶん大人になりたければ、自分自身で大人になるしかないんだと。それは自分で決断して自分で探すしかない。映画にはひとつヒントがある、ユーイチはなぜティーチャーに挑戦したのか。それは自分のためじゃない。結果としてそうなっただけで、スイトのために挑戦した。自分は自分のためには大人になれないのであってさ。誰かのために生きるということを決意しない限り大人になるなんてことはありえないんですよ。だから母親が子供のために生きようと思うのと、父親が息子のために生きようと思うのと、全部一緒だよ。誰かのために生きようという決心のできない人間は永遠に大人になれない。そういう発想だよ。それが僕の提案というかね、僕の答えの一部。それを象徴的に描いているわけよ。

“大人の男”ティーチャーが乗る戦闘機「スカイリィ」

──「大人の男」の象徴であるティーチャー、その存在の意味をお聞きしたいと思っていました。ティーチャーは父親の原型であり、その存在を倒さないと大人になれないという暗喩を感じたのですが。

押井:ギリシャなどの古典の時代は父親を殺せた人間だけが大人になれたわけだ。昔は大人になるということは平等じゃなかった。当たり前の話だよね。生きるだけでいっぱいの時代には大人になるということは、何事か成し遂げた結果であって、だから通過儀礼が必要だった。それを、象徴的に語るために父親殺しがあったわけで。だから、昔の時代、子供が大人になるということは、その能力のある人間だけが大人になったわけで。今は二十歳になれば、自動的に大人にしちゃうわけだよね。なんの努力もしてないのに。だからこそ、大人になれないんであってね、僕に言わせれば。だから自分を大人にできるのは自分だけだと。自分の中にモチベーションや動機がない限り、大人にならなくてたって生きていけるんだもの。日本では成人式に勝手に大人だって言って一市民にして、その代わり税金払えと言う。でも今は子供があめ玉一個買ったって消費税という税金を払っているわけだからさ。税金払うというのは、ギリシャ時代では、大人の条件だった。女子供は税金を払う必要はなかったんだよね。奴隷もね。自分で税金を払って、武器を持って戦える人間だけが、大人の男であり、もっと言えば「人間」だった。他は大人以前に人間でさえなかった。昔は大人になることは人間になることだった。子供も女も人間じゃなかったわけだから、近代になるまでは。大人になって初めて魂が入るんであってさ。それまでは、子供は親のもの、自分の子供を殺しても罪にならなかった。ところが大人になった瞬間、共同体とか世の中自体が責任を問うようになる。当たり前の話だよね。

──話が戻るようですが、誰かのため、何かのために生きるというのが、大人になることでもあるとおっしゃっていましたが、家族のため、子供のため以外にも、恋愛でこの人のために生きるということも、大人になることですか?

押井:だと思うよ。貫徹できれば。だいたいできないけど。

──ユーイチはスイトのために生きようと思ったことで、大人になるきっかけを持ったのでしょうか。

押井:でなければ、スイトが言ったことのように。「私たちは永遠にこのまんまだよ。」と。恋愛っていうのは、逆に言えばきっかけにしかすぎないから。相手がいて愛し合って、お互いに大好きだったとしても、完結しないからね。多分お互いの欲に振り回されるだけで。だから、恋愛というのは必ず100%破綻する。破綻しない恋愛はない。破綻させないために結婚するだけなんですよ。結婚という形で、恋愛を現実に着地させるわけだよね。恋愛は、社会的に罪悪だからね。本当にそうだよ。近代になるまでは、恋愛は反社会的行為だったんだから。男と女が勝手にくっつくなんてとんでもない話だったんだから。社会の了解を得ない婚姻というのは言ってみれば、反共同体的な個人の利益しか追求しない行為であって、追放されて当たり前であってさ。やっぱり心中するしかないって話だよね。恋愛というものはかつてそういうものであったけど、本質は変わってないよ。恋愛っていうのは、互いに好きだと分かった時点で、お互いを拘束しあうわけで。なぜ俺のそばにいないんだ。俺のこと以外考えるなとお互い思うんだよね。じゃあ、24時間一緒にいられるか。24時間一緒にいたって、頭の中までは支配できない。「お前今何か考えていただろう」「俺以外のこと考えていただろう」と。お互いの頭の中のことまでは支配できない。そのことにいらだつ。なんとか自分の方を向かせようとする。つまりお互い拘束しあうんですね。それで疲れ果てる。

向き合って食事をするユーイチとスイト

──ユーイチと水素の恋愛があって、一方のフーコは恋愛とか欲とは違う愛情のようなものを持っているような気もするんですけども。

押井:フーコは娼婦だからだよ。娼婦は恋愛をしないから、当たり前の話だよ。疑似恋愛を売っているんであってさ、フーコが恋愛したら、娼婦じゃなくなるから。だから、娼婦は成立するんであって。じゃあ、ユーイチとスイトが結婚するかって話だよ(笑)。連れ子もいることだしさ、退社して、で、どんな家庭を作るの? 二人には想像もできないわけだよ。明日死ぬかもしれない、空を飛ぶことから離れられないんだから。空を飛ぶことを選ぶのか、家庭を持つことを選ぶのか、そんなの決まっているじゃない。そもそも成立しないんだよ。だから、この二人の恋愛は破綻することが約束された恋愛なんだよ。それを何度も繰り返している。ましてやスイトは、それを何度もやっているんだから、ユーイチは忘れちゃってるだけで。永遠に殺し合っているカップルというのはさ、恋愛そのものが比喩なわけ。恋愛そのものを象徴するために繰り返し殺し合うわけでさ。

──監督自身は子供の頃、閉塞感とか焦りとか居心地の悪さとか、人間になれていないという気持ちのような感覚はあったんでしょうか?

押井:もちろん。だから早く大人になりたかった。

──監督が大人になれたなと思ったきっかけというか、事柄はなんでしたか?

押井:多分……監督になったことからかな。職業としてね、映画監督になった。初めて監督として映画1本を任されたこと。その時初めて自分は何者かになったんですよ。おおむね大多数の人間は職業を通してでしか大人になれないし、自分になれない。つまり何者かになれない。仕事と無関係にたまに自分自身になれる人もいるけど、例外的に。世の中の98~99%の人は、人間は職業を通して自分たり得る。仕事が自分であってさ。男の場合は100%そう。仕事で、自分は交換可能なパーツじゃないと自覚した時に世の中に自分の席をつくる。自分が自分でなきゃならない理由をそこに見い出すわけです。だから役者に役がついたのと一緒だよ。役のつかない役者は役者じゃないわけだ。自分自身を役者と思えないんですよ。世の中のフリーターなどは。

──では監督をやめようと思ったことはないんでしょうか。

押井:全然ない。何者でもなくなるということですよね。映画監督以外の方法で、まず食っていけないし。今以上には自己実現できてる気がまずしないです。やめたら自分を確かめようがない。監督になる前は早く何者かになりたいと。今思えばそうだったと。何者でもなかったと思います。結婚もしてたけど自分が何者でもないことには変わりないから。この人の旦那さんというだけで。まだ自分自身の人生、本番が始まっていないみたいな思いが常にありました。

──映画を作り始めてから人生の本番だと思えるようになったんですか。

押井:だって他人が評価するから。他人が評価しない仕事は仕事じゃないからね。自分自身でなきゃならない理由というのは自分で探す必要はないと思う。他人が評価してくれるからね。あんたじゃないとダメなんだと。

──作品の評価は気になさる方ですか?

押井:全然。気にしないというか、もちろん褒められれば嬉しいし、けなされれば悔しいし。一通りの反応ももちろんあるよ。でもそういう評価は作品作る上では重要じゃない。要するに作品の評価じゃないわけ。監督としての評価でね。ちゃんと仕事できる、映画になってます、まかせていい。もっと言えば、あんたの映画は客を呼べるというさ。その評価のおかげでお金を用意して撮らせてくれるわけ。半端じゃない家が何軒も建つような大金を任せてくれているわけで、「信じてます」ってことだよね。大工の棟梁と一緒だよ。いい家を建てて、「次も頼むよ棟梁」っていうさ。それと同じだよ。

──最後に、観る方へのメッセージの代わりに質問をしたいと思います。ポスターのコピーですが、監督は「もう一度生まれてきたいと思う?」

押井:もちろん。一度とは言わず、二度でも三度でも。

──そしてまた作品を作って行きたい?

押井:多分。違う人生でもいいけど。別に。パイロットになりたいとかもあるけど。街のはんこ屋さんもいいなとか。いつも家にいられるし、足下に自分の犬が寝ていて、雨降って来たなとか、そういう人生も想像するんだよね。なんかいいなとかさ。そういうことも含めて何度でも生きたい。

──ありがとうございました。


「キルドレ」に命を吹き込んだキャストからのコメント

押井監督がキャスト選びには苦労したと語る、草薙水素には、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトウ監督の『バベル』で聾唖の女子高校生を演じ、世界中の注目を一気に集めた菊地凛子。函南優一には、痴漢冤罪を題材にした『それでもボクはやってない』、クリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』などで強い印象を残した加瀬亮を起用。飛び抜けた存在感と現代の若者を代表する空気感を持つ彼らが二人の主人公であるキルドレを演じたことで、本作はこれまでにない新鮮でリアルなアニメーション映画になった。

草薙水素役:菊地凛子さん
私の声の役、草薙水素は好きです。
ルックスも好きですし、今まで多くのことを経験しているのでしょうけど、外見的には大人にならない、その中で物事をしっかり捉えていこうとする姿勢とか。
人を受け入れることに恐怖感を抱きつつも挑んでいこうという気持ちや、フッと女性的な感情が現われてくるところも、魅力的だと思います。
『スカイ・クロラ』は“大人にならない子供たち”というところが押井監督独自の表現だと思いますし、では何故大人にならないのか? そもそも大人とは何なのか? また、もっと深いところでのラブストーリーも描かれていますので、そういうところもぜひ期待してご覧になってください。

函南優一役:加瀬亮さん
押井監督ご自身が記されていますように、『スカイ・クロラ』には先の見えない現代の荒涼感といった時代の気分がすごくよく捉えられていますし、またそういう物語をアニメーションで表現しようという試みは、とても新鮮に思えました。
特に年を取らないキルドレ=優一という存在からは、今の日本というものが浮かび上がってくるような気がします。
僕には優一がすごく優しい人間に思えました。
良くも悪くも独特な、今の生きづらさを背負った彼の内面に惹かれました。
ただし、自分にもそういう部分がある半面、単純に共感するのではなく、そこに質問を投げかける自分もいる……。そんな複雑な気持ちをそのまま出せたらと思いながら、演じさせてもらいました。

三ツ矢碧役:栗山千明さん
大好きな押井監督の作品に参加できるとあって 緊張もしましたし、楽しみでもありました。
声優さんのお仕事は、声でお芝居するのはもちろん映像に乗せて(キャラクターの表情や口に合わせて)セリフを言う事が難しいなとぁとつくづく思い知りました。
三ツ矢は、自分の境遇に思い悩むキャラクターです。
彼女の真っ直ぐさが出てたくさんの人に愛されるキャラクターになると嬉しいです。

土岐野尚文役:谷原章介さん
『攻殻機動隊』など押井作品のファンだったので、監督の作品に声で出演できることは何物にも替えがたい喜びであり、最高の体験でした。
架空の世界でのお話ですが、観ていると僕らが生きている世界に通じる何かがそこに有り、とても引き込まれました。
もしあの様な事が現実に行われていたとしたら…もしかしたらこの世界にも似たようなことは有るのかもしれません。


ジャパンプレミアレポート

2008年7月3日(木)、東京国際フォーラムAホールにて、『スカイ・クロラ』のジャパン・プレミアが行われた。 この先行上映には、関係者・マスコミのほか、抽選で選ばれた一般のファン合わせて5000人が詰め掛け、監督とキャスト陣の舞台挨拶が行われた。

↓この模様のレポートを読む方はこちら↓
イベント押井監督、菊地凛子、加瀬亮らが登場!
『スカイ・クロラ』ジャパンプレミアレポート

STORY
何度、君と出会い、 何度、空で戦い、 何度、君と愛し合ったんだろう──。

物語の舞台は、いくつかの大戦を経て、つかの間の平和を手に入れた、今とよく似た時代。
かりそめの平和を実感する為に、人々は「ショーとしての戦争」を求めた。
現代を生きる私たちが、テレビを通して戦争を「観戦」するように。
戦闘機のパイロットとして戦うのは、《キルドレ》と呼ばれる子供たち。
彼らは年をとらない。思春期の姿のまま、永遠に生き続ける――空で死なないかぎりは。

物語は、主人公カンナミ・ユーイチ(声・加瀬亮)が、欧州の前線基地「兎離洲」ウリスに配属されてくるところから始まる。 ユーイチには、その基地に赴任する以前の記憶がない。 同僚たちは彼を見て意味ありげな表情を浮かべるが、それ以上、何も語ろうとしない。 ユーイチが知っているのは、自分が《キルドレ》であるということと、戦闘機の操縦の仕方だけ。 初めて乗るはずの機体は体になじみ、その優れた戦闘能力は、すぐにユーイチをエースパイロットの座へと押し上げた。
そんなユーイチを、熱いまなざしで見つめるひとりの女性がいた。
基地の司令官であるクサナギ・スイト(声・菊地凛子)。彼女もかつてはエースとして戦ったキルドレのひとり。
まるでずっと、彼を待ち続けていたかのようなスイトの視線に戸惑いながらも、ユーイチはスイトに惹かれてゆく。
一方、基地を取り巻く戦況は日増しに厳しくなっていった。同僚パイロット・ユダガワの死。 ユダガワを墜としたのは、機首に黒豹のマークが描かれた「ティーチャー」と呼ばれるパイロット。
彼は、絶対に勝てない敵として大空に存在する「大人の男」なのだった。反撃に向かい、怪我を負って帰還するスイト。
傷ついたスイトが握り締めたユーイチの手。ふたりは互いに理解を深めあい、激しく求め合ってゆく。
平和な大人たちの求める大規模な攻撃プロジェクトの中で、 仲間が次々に失われていく中、基地に新たなパイロットが増員されてくる。 新任のパイロットが新聞を几帳面に折りたたむのを見たユーイチは、それが、かつて共に戦ったユダガワの癖だったことに気づく。
蘇ってゆくユーイチの記憶。キルドレが背負った、悲しく、切ない宿命の真実。
「愛しているなら、殺してくれる?」とせがむ、スイトの言葉の意味。
そのすべてが解き明かされたとき、ユーイチは、自分たちに課せられた運命に立ち向かう決意をするのだった──。


CHARACTER
成長することをやめてしまった「キルドレ」──

草薙水素 クサナギ・スイト
(CV:菊地凛子)

兎離洲基地の女性司令官。(キルドレ)
かつてはエースパイロットとして活躍していたが、今は前線から身を引き、司令官として基地を束ねる任務についている。彼女もまたキルドレのひとり。 基地に赴任してきたユーイチに、はじめは冷淡な態度をとるものの、次第に彼に対する特別な感情があらわになっていく。時に抑えきれないほどに溢れ出すスイトの激情は、ユーイチの失われた記憶とつながっている。 「子供を産んだ」「ユーイチの前任者を殺した」――スイトについてはさまざまな噂が飛び交っているが、仲間たちは彼女の過去について多くを語ろうとしない。

函南優一 カンナミ・ユーイチ
(CV:加瀬亮)

兎離洲基地に赴任してきた新任のパイロット。(キルドレ)
彼には基地に赴任してくる以前の記憶がない。自分を知っているらしい同僚たちや、クサナギ・スイトの言動に戸惑いを覚えつつも、その卓越した戦闘機の操縦能力で、エースパイロットとしての力量を遺憾なく発揮する。地上では自分の存在さえあいまいなユーイチだが、いったん空に舞い上がれば、そこが自分の居場所だと実感できるのだ。 戦闘が繰り返され、同僚が入れ替わっていくなかで、やがて蘇ってゆくユーイチの記憶。クサナギ・スイトとの過去が、キルドレに課せられた、逃れがたい運命だと気づいたとき、彼はその呪縛を自ら解き放とうと、決意する。

土岐野尚史 トキノ・ナオフミ
(CV:谷原章介)

兎離洲基地のナンバー2パイロット。(キルドレ)
ユーイチの過去を知るひとりで、記憶をなくしたユーイチに対し、ときおり意味ありげな表情を見せる。ユーイチと同室になったことで何かと世話を焼くが、つねに一定の距離を置き、必要以上に踏み込むことはない。自分がキルドレであるという事実も軽く受け流しているかに見える、クールなプレイボーイ。

三ツ矢碧 ミツヤ・ミドリ
(CV:栗山千明)

優一たちとは別の基地に所属する女性パイロット。(キルドレ)。
各部隊が集結した大規模な戦闘プロジェクトを経て、兎離洲基地に合流することになる。パイロットとしての腕を磨いてエースにまで昇りつめた自分自身に人並み以上の誇りを持ち、兎離洲基地のエースパイロットであるユーイチにも興味を抱いて接近する。その一方で自分がキルドレであることに激しく葛藤し、子供を生んだと噂される水素に嫉妬と嫌悪の目を向ける。

笹倉永久 ササクラ・トワ
(CV:榊原良子)

兎離洲基地の女性整備主任。キルドレたちを 長年見つめ続けてきた母のような存在。
水素のパイロット時代を知っている。

草薙瑞季 クサナギ・ミズキ
(CV:山口愛)

クサナギ・スイトの妹。学校の休暇中、姉に会いに基地を訪れる。水素の娘とも噂される。

湯田川亜伊豆 ユダガワ・アイズ
(CV:平川大輔)

ユーイチの同僚パイロット。(キルドレ)
新聞を几帳面に折りたたむ癖の持ち主。

篠田虚雪 シノダ・ウロユキ
(CV:竹若拓磨)

ユーイチの同僚パイロット(キルドレ)
模型雑誌を愛読、他者への関心が薄い。

  
フーコ
(CV:安藤麻吹)

基地のパイロット「キルドレ」専属のコールガール。
ユーイチに前任者クリタ・ジンロウのことを話す大人の女。

クスミ
(CV:兵藤まこ)

フーコとコンビを組むコールガール。
トキノのお気に入り。

ティーチャー

ラウテルン社のエースパイロット。かつてはロストック社に所属。終わらせてはいけない戦争のために、絶対に勝てない存在として敵方に送り込まれた大人の男。

  

BATTLE PLANES 戦闘機
「ショーとしての戦争」は、絶対に終わらせてはいけないゲーム。一人一人は命を懸けて戦うが、相手を全滅させてはならない。したがって、武器としてより高度な能力を発揮するジェットエンジンやミサイルが開発されることもなかった。代わりに空を舞うのは、究極に進化したプロペラ戦闘機。それはキルドレたちの揺りかごであり、棺でもある――。

散香[さんか]

プロペラとエンジンが機体の後部にあるプッシャー・タイプの戦闘機。 ユーイチら兎離洲基地のパイロットたちが搭乗する機体。

スカイリィ

プロペラが機体の前方にあるトラクター・タイプの戦闘機。 敵のエースパイロット、ティーチャーが操縦する機体。 ティーチャーのスカイリィには黒豹が描かれている。


ART
 美しくもリアルな舞台美術
押井監督はストーリーとは別に、作品の世界観の構築から企画を進めていく。今回もまず「空と地上で全く別の世界にしたい。上空は圧倒的な3Dで全て作りこんだ、ある意味天国のような世界。地上は2Dの、重厚な大人たちの世界なんだ」と、映像のイメージを固めていった。そして物語の舞台を、雲が厚く低く流れながら大自然を抱くアイルランドと、歴史的な建築物が点在するポーランドに設定。2006年9月、2週間をかけてロケハンを行うこととなった。


STAFF
日本テレビ プロダクション I.G 提携作品
原作:森 博嗣「スカイ・クロラ」シリーズ(中央公論新社刊)
脚本:伊藤ちひろ
音楽:川井憲次
製作プロデューサー:奥田誠治/石川光久
プロデューサー:石井朋彦
監督:押井守
演出:西久保利彦
キャラクターデザイナー・作画監督:西尾鉄也
メカニックデザイナー:竹内敦志
美術監督:永井一男
美術設定:渡部隆
色彩設定:遊佐久美子
ビジュアルエフェクツ:江面久
CGIスーパーバイザー:林弘幸
CGI制作:POLYGON PICTURES
ラインプロデューサー:川口徹

制作:プロダクション I.G
製作:「スカイ・クロラ」製作委員会
配給:ワーナー・ブラザース映画

CAST
草薙水素:菊地凛子
函南優一:加瀬亮
土岐野尚文:谷原章介
三ツ矢碧:栗山千明
草薙瑞希:山口愛
湯田川亜伊豆・合原:平川大輔
篠田虚雪:竹若拓磨
山極麦朗:麦人
本田:大塚芳忠
フーコ:安藤麻吹
クスミ:兵藤まこ
笹倉の犬:Lucy and Pericles
バスガイド:西尾由佳理
ユリ:ひし美ゆり子
マスター:竹中直人
ほか

映画情報
映画『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』
公開日:8月2日(土)全国ロードショー公開
関連リンク
映画『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』公式サイト:http://sky.crawlers.jp/index.html


MUSIC

【CD情報】

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-全シングルMUSICVIDEO・DVD付-
/全15 曲+ボーナストラック
価格3,980円 (税込)

発売中

切なくも心温まるバラード「今夜も星に抱かれて・・・」は、2ndアルバム「Sing to the Sky」の15曲目に収録される。実はこの曲、今から約2年前の2006年5~6月に行った記念すべき1stツアーで既に披露され、ファンの間では「名曲」として人気が高く、CD化への要望が非常に高かった。
当初、本曲「今夜も星に抱かれて・・・」は、作品のイメージにピッタリ合うということで、“イメージソング”として、TVスポットや予告編のみで使われる予定であったが、完成した本曲が押井守監督の元に届けられた直後、監督自らが、映画本編映像に合わせて本曲を聴いたところ、「この映画に新たな力を与えてくれる曲だ」と評価、急遽、本編のエンドロールで流れる主題歌として起用されることとなった。

絢香さんコメント

「大人になること、生きていくということは、どういうことだろう?改めて考えさせられました。
物や情報で溢れかえっている今、大切な人と過ごすこと、生きていること、全てが当たり前になっている気がします。
「当たり前なんてものはない。」いつも思うようにしていますが、改めて幸せを感じました。
この映画が、曲が、たくさんの人の心に届くことを願っています。」


プレゼントコーナー!!!

今回、インタビューに答えてくださった押井守監督のサイン入り、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』のプレスパンフレットを抽選で 3名様にプレゼントします!!

◆募集期間:2008年8月1日(金)~8月28日(木)12:00まで

※応募は終了しました。多数のご応募ありがとうございました。

(提供:ワーナー・ブラザーズ映画様)
※画像はイメージです。実際の賞品にはサインが入っています。


©2008 森 博嗣/「スカイ・クロラ」製作委員会






 

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